色材コラム

色の話

Vol.06 色の世界で働く

 Japan Fashion Color Association
清水 加代(Shimizu Kayo)
日本流行色協会(JAFCA) 調査研究部

のんびりする、旅行する、誰かとお酒を飲む時間を共有することが好き。大切にしたいのは笑うこと、泣くこと。ひとりで「泣く」という空間としては車が最適。泣きながらの運転は、はたから見ても、安全面においても、かなり危ないかもしれないが・・

2004年が明けた。また新しい一年の始まりだ。始まりの一日は,いつもとはやはり心持ちが少し違う。なんとなく,特別だ。私たちはもちろんこれから始まる一年に,どんなことが起こるのかわからずにいるけれど,幸せな気持ちで過ごせることを願う。1年先,2年先というまだ見えない「未来の色」を予測する時と,どこか似ている。

色が好きで,色を学び,触れたりもしながら,実際に自分が「色の仕事」にどうやって関わっていけるのかわからずにいた時,日本流行色協会(以下Japan Fashion Color Associationの略でJAFCA)という存在を知り,働いてみたい!と思って初めて開いたJAFCAのホームページ。偶然にも「欠員につき,職員1名募集」の文字が眼に飛び込んできたのは,2002年3月のことだった。この時,欠員募集の案内(6年ぶり)を出したのはホームページのみで,掲載期間も1週間程度ということだったから,あの時まさにあの瞬間,ホームページを見ていなかったら,今私はJAFCAにはいない。その瞬間に働きたいという動機を持ってホームページを開いたということは,かなりの確率ではないだろうか。私は運とか縁とか偶然とかタイミングとか,そういう類の力をかなりの割合で信じている。

あれから1年9ヶ月。
現在10人のスタッフで運営するJAFCA事務局のオフィスは,様々な展示会やイベントが行われるビックサイトのある国際展示場駅からほど近いTFTビル(大塚家具本社が入っていて,吹き抜けの真ん中にシャワーツリーがあるビルだ)の9階にある。都心からは少し離れているが,会議室の窓から一面に見える海と空はとても美しい。様々な場所に足を運び,いろいろなものが見られ,情報の近くにいられる環境は本当に恵まれている。キャリアの浅い私は,そのひとつひとつを自分の力として蓄えていけるよう,日々是勉強の毎日である。

私は今JAFCAで,主に化粧品と和装分科会を担当している。ウィメンズウェア部会のアシスト業務とインターカラー(国際流行色協会)関連の業務にも携わっている。シーズン毎の流行色の選定は,JAFCAスタッフだけではなく,専門委員(部会,分科会ごとに,それぞれの分野で商品企画やデザイナー,カラー開発に携わっている方々など)の皆様との各専門委員会で行われている。その会議開催の手配,決定したカラーパレットの作成(測色,素材発注,解説文,色名etc.),年3回行われる色彩講座の講師など,その他諸々の仕事をしている。さらに展示会,コレクション,新聞,雑誌,現場で働いている方の生の声などから,市場を調査研究することも重要な仕事である。(私にはまだ上手く出来ていないのだが、それをセミナーや文章を通し、会員の皆様に伝えられるようにならなければいけないのだ!)

JAFCAに入って,本当にたくさんの人と会うことができた。色を愛する人には,人生を楽しむ術を知っている方が多い。打ち上げ,懇親会,パーティー,飲み会,いろんな名前のもとにお酒を飲む機会も増え,その席では多種多様な話題が繰り広げられる。色も人も同じ。1色で美しい存在感を持つ色もあるが,他の色と隣り合うことで,混じり合うことで,新たな魅力を見つける可能性を帯びてくる。色と色が出会って見せる表情や調和感が組合わせによって違うように,人と人も組合わせによって違ってくるから面白い。JAFCAの活動のひとつに,年に一回「カラーフォーラム」という色のお祭りのようなイベントがあるのだが,そこでもたくさんの方々に会うことが出来る。まさに,色に興味のある方々が集まる場所。JAFCAは色を愛する人達が,業界,世代,経験も超えて集まる稀有な場所であると思う。

JAFCAに入って,色の世界で働くという夢が叶って,夢が叶ったその先。

実際の私は,自分の力不足に落ち込んだり,多くの人に会う中で,時に自分を見失ったり,苦しい日を送ることもある。だけど、色の世界で働くことは素敵だ。色の世界でつまずきながら学び,色の持つ力に魅了されていく。

「自分の心の中で願ってきたこと,今までやってきたことが,そこに向かってすーっとつながった瞬間が,多分『偶然』だね」。JAFCAに入ったばかりの頃,言われたことがあった。JAFCAに入って,もうすぐ2年が経つ。これまでよくわからずに,見落としてきてしまったこともたくさんあるだろう。新しく始まった一年。今年の私は,どんな色に会えるのか,どんな人に会えるのか,とても楽しみだ。

連絡先:社団法人日本流行色協会(JAFCA) 調査研究部  URL: http://www.jafca.org

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