色材コラム

色とデザイン

Vol.02 「イコニックカラー」の不思議な魅力

 Planner & Color Design Producer
染川光示(Somekawa Koji)

職 業 :プランナー&カラーデザイン・プロデューサ
趣 味 :(好きなモノ、好きなコト)好きな仕事を、好きな人達と、一生懸命楽しくする/上手くも無い料理をする/チーズケーキ(SOME SPECIAL)を焼く/推理・予想をする(下手な考え・・・)「特に競馬の予想」/喰うて、寝て、遊んでたくさんの人と出会う。

「イコニック・カラー」ってなァ~に。
「イコニック・カラー」のお話をする前にこんな質問は如何でしょうか。

Q1. ソフトアイスクリームのコーンはどうして茶色なの?
Q2. ビール瓶の色は何故茶色や緑色で透明は無いの?

「イコニック」の語源はギリシャ正教の「イコン/聖像」を意味しています。転じて現在では「類似記号」を意味し、「記号がその示す内容と何らかの類似性を持つものである。」と言うことになります。コンピュータの“アイコン”と言えば解かり易いと思います。コンピュータでは、ファイルやプログラムなどの機能や状態を視覚的に理解出来るようにした絵柄のことをアイコンと呼びます。
イコニック・カラーとは、その色が一種の記号となり何らかの特定のモノやそのイメージを連想させるような色のことです。その色が直接的に素材や機能を表したりイメージさせたりしている場合も有ります。

先の質問の応え(答えではなく)は、「ソフトアイスクリームと言うと多くの人がイメージするのは、味からの連想でストロベリーやチョコレートのような色などですが、しかしコーンの部分は100円のソフトクリームでも高級なソフトクリームでも“とうもろこし色”や“小麦色”の茶色系の色を一般的には特定する場合が多いようです。ビール瓶の色に茶色や緑色が多いのは、もうお解かりだと思いますが「機能色」だからです。ビールと言うデリケートな飲み物の容器は外光を出来るだけ遮断し中身に変化を与えないようにとの工夫から来ています。今ではある容量のある種の姿をした茶色や緑色のビンを見ると多くの人がビールをイメージするようになりました。透明のビンが無いのはなかなかビールを連想することができないからです。(南米には“コロナ・ビール”と言う透明のボトルに入ったビールがあるそうですが)

「イコニック・カラー」は“色”ではありません。
“必然的な色”と言われる素材色や“イメージカラー”と呼ばれる「モノを連想し特定する色」などがあることは誰もが良く理解しています。 思い浮かべて見て下さい。「黒シャツに黒スーツ、黒のエナメル靴、黒いベルトに黒いサングラスをかけて~」と言う出で立ちの人を。直ぐに思い浮かびますネ。私達の時代はこう言う人は“肩で風を切って歩いている”人達でした。 色を考える、或いはデザインすると言うことはとても楽しくて面白い作業だと私は思います。その品物に合った色、その人にあった色、その場所にあった色、・・・そして何よりも、その時代に合った色を考えることができるからです。 具体的な「~色」と言うことを考えるよりも色を楽しく、豊に、美しく使うようにして行くことを考えています。 例えばクルマの色では‘80年代初めに雲母を含有した“マイカ”塗料が開発されて、それまでのメタリック塗料では表現できなかった、全く新しいカラーデザインが可能になりました。そして今ではマイカ塗装の仕上げは当たり前のように使われて、豊に、美しく使いこなされています。これは正に「色の提案」ではなく「色の表現方法」の開発だったと思います。同様に、「イコニック・カラー」も“イコニックと言う色”ではなく、「イコニック・カラー」と言う「色の概念」だと捉えるべきではないかと考えています。

見えてくるイコニック・カラーの不思議な魅力と可能性
高度に情報化が進む現在、日々新しい技術や素材が開発される現在、猛スピードで進みつつある少子高齢化社会、今ならばまだ何かカラー・デザインが出来ることがあるのではないかと“カラーデザイン・プロデューサ”としては考えをめぐらしています。 近頃思うことは、「色は沢山使われているのに、ちっとも色が多いと感じられない」と言うことです。「何故だろう?」と考えてみましたが、どうやらこんなことではないでしょうか。 それは、「その色が、その色のまま出てきているに過ぎない」からではないか! 本当は、「色数は少ないけれども組み合わせで如何にも色が多くあるように」感じさせられるのではないか。つまり“ハーモニー”と言うことだろうと思う訳です。実は、色は“その色”の中に“別の色”を持っていて“他の色”と組み合わされて“また別の色”を見せているのだと思います。そう言う表現が出来る色が“自然の色”であり、「イコニック・カラー」で、決して“工業的な色や石油化学の色”ではないと考える訳です。 自然にあるがままの色=自然体同士が交わり、ハーモナイズしていく方法を考えることが大切ではなかろうかと考えています。 もしかしてこれって、人と人との関係でも同じかもしれないと思えて来ています。

 

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