01塗料・塗膜 02印刷・インキ 03樹脂 04粉末関係 05分散 06色関係 07試験・分析 08環境関連 09その他
07.試験・分析
質問のような現象は,プラスチック板内の顔料粒子の種類・形状・粒子径・分布密度等により,また,サンプルの置きかた,見かた(光源,物,目の位置)により観察される光が,主に反射光(特に散乱光)であったり,透過光(特に直進透過光)であるため起こると考えられます。
ところで,プラスチック板等のビヒクル内で発生する散乱光は,顔料粒子の屈折率,吸収係数,粒子径,分布密度に依存するといわれております。
また,顔料粒子が小さくなるに従い,隠蔽力が大きくなり,光の波長の1/2前後の大きさで最大になり,さらに小さくなると隠蔽力は急激に減り,透明性が大きくなります。一般に,プラスチック板内に分散している平均顔料粒子径は,無機で0.1~数μm,有機で0.05~0.5μm,カーボンブラックは,さらに小さいとされています。
まずは,黒い紙の上に透明性のある着色されたプラスチック板を置いた場合を考えます(白黒隠蔽紙の黒色部に塗布した塗料も同様です)。
この場合,照射されている光の中で,プラスチック板を通りぬけた光(透過光)は,下に置かれた黒い紙にほとんど吸収されるため,観察者は,プラスチック板内の顔料粒子により観察者側に反射した光だけを見ることになります。
今回質問の観察者が,黒い紙の上の自社品がぼんやりと不透明に見えるのは,競合他社品より顔料粒子の屈折率,吸収係数,粒子径,分布密度に起因する散乱光が多いためと考えられます。
つぎに,プラスチック板をかざして背景を透かして見る場合について考えてみます。
この時,観察者は,プラスチック板を通り抜けた透過光(直進成分+散乱成分)の中で,主に直進透過光を見ることになります。
そして,透明感の有る無しは,観察者が見る直進透過光が多いか少ないかで決まります。質問にある「比較的透明性の高い顔料」を,有機系の比較的小さい顔料粒子(光の波長の1/2以下)であるとすると,顔料粒子が小さくなるに従い透明性が大きくなります。
今回の質問者の板をかざして背景を透かしてみる場合,競合他社品に比べて,自社品の顔料粒子が小さいため直進透過光が多くなり,透明感(向こう側がはっきり見える)があったものと考えられます。 (S.T.)7a7411047
印刷物の種類は多岐に渡っているが,ここではカタログ,書籍,ポスター,チラシ広告等の出版,商業印刷物を中心に話を進める。一般的にこれらの印刷は,枚葉オフセット印刷,ヒートセットオフ輪印刷で行われる。比較的高級で小ロットサイズの印刷は,シート状の用紙に印刷する“枚葉印刷”で,大ロットサイズのものは,ロール(Web)状の用紙に高速で印刷し,オーブンで乾燥した後断裁する“オフ輪印刷”で行われることが多い。しかし,最近では比較的小ロットサイズの印刷でもオフ輪印刷で行われるケースが多くなってきており,その印刷品質も差が小さくなってきている。
印刷物の品質は,一口で言えばいかに原稿を忠実に再現しているかに尽きるが,要素に分けると,1)発色性,色相,濃度,2)網点再現性,3)ベタ(ソリッド)の着肉性,4)光沢,5)耐摩擦性,6)耐光性等が挙げられる。それらの良否を判定する方法としては,1)の発色性,色相,濃度は,視覚による場合と計器による場合がある。人間の視覚は大変敏感で,微小な差でも見分けることができる。印刷原稿と並べ,その発色の再現性,色相,濃度を評価する。印刷物には,計器で評価するためのカラーバー(ゲージ)が印刷物の端に印刷されることがある。色差計,反射濃度計等を用い,カラーバーでプロセス色,各単色の色相,濃度を調べることができる他,二次色(重ね色)の発色も確認することができる。ただし,このカラーバーは最終印刷物(商品)になる段階では断裁され切り落とされるため,印刷段階でしか使用できない。2)の網点再現性,3)のベタの着肉性も,印刷段階では先のカラーバーを用い調べられる。反射濃度計を用いドットゲインカーブを確認したり,ルーペ,顕微鏡等で網点形状,ベタの着肉(つぶれ)を調べる。4)光沢は肉眼で評価する他,60度鏡面光沢度を光沢計で測定し%表示で数値化する。5)の耐摩擦性はサザーランド型耐摩擦性試験機や,学振型摩擦試験機を用い評価する。6)の耐光性は,屋外で日光に暴露して変退色を調べる他,カーボンアーク灯等による促進試験法がある。印刷物の品質には,その他にも用途により耐油性,耐ブロッキング性,滑り性,臭気等種々の評価項目がある。(Y. I.)7b7312029
一般に材料や製品はいろいろな環境下に曝されているうちに光,熱,放射線,応力,電気的作用,薬品,微生物,水分,大気とその汚染物などの作用を受け,ついには使用に耐えられなくなる。このような変質を「劣化」(degradation;de:低下,grade:品質)と呼んでいる。この他,老化,脆化,分解,崩壊,破壊などの用語があり,微妙にニュアンスの違いはあるが同じように使われることが多い。老化(aging)は時間の経過とともに変質し,材料固有の性質を失うことをいい,劣化とほぼ同じ意味をもっている。よく用いられている分解(decomposition;組成が壊れる)は,狭義には構成単位がばらばらに切れ低分子量化することを指す。劣化反応では酸素の影響が非常に大きく,反応が開始されると酸素を介して持続・促進される場合がある(自動酸化という)ため,厳密には酸素の有無を区別し,その存在下では熱酸化劣化や光酸化劣化などと呼ぶ。
「耐光性」はいろいろな劣化要因のうちで特に光による劣化に耐える性質をいう。「耐候性」は自然環境(天候)下での耐久性をいうが,劣化要因が複合的に作用するためその劣化機構は極めて複雑であり,当然場所や気象条件などによって左右される。材料や製品の開発研究では,その耐久性を正しく評価し寿命を予測することが不可欠のため,「屋外暴露試験」(アリゾナ,フロリダ,銚子など自然環境の厳しい所や試験機関の屋外など)による評価が行われている。また,迅速に評価するために人工光源による促進試験や太陽光を追従しながら集光する屋外暴露試験も行われている。
材料や製品が劣化すると強度や伸度などの力学的特性,電気絶縁性の低下など物性の変化が現れる。また,「褪色」(色が褪せる),着色(黄変化),白化,曇化,表面亀裂,チョーキングなど外観の変化とともに結晶領域や密度の増加など形態の変化が起こる。その際,主鎖の切断,架橋化,酸素を含む官能基の生成などの反応が起こる。しかし,これらの変化は同じような傾向で一義的に現れるとは限らない。例えば,強度はあまり変らないのに著しい褪色や着色を起こす場合がある。したがって,当然のことながら常に研究目的を明確にしておき,最も適切な特性値の変化を測定・評価の対象に選ぶことが大切である。(Z. O.)7a7307017
内部標準法は代表的な定量方法の1つである。この方法は試料中の各成分と完全に分離,識別でき,かつ化学的性質が類似し,安定な物質を内部標準物質(IS)として検量線を作成し,定量分析する方法である。目的とする成分の濃度が異なる溶液を調整し,この溶液に一定量のISを添加し標準溶液とする。作成した標準溶液について測定を行い,目的成分の信号強度(面積,ピーク高さ等)とISの信号強度の比を求め縦軸,濃度比を横軸にとって検量線を作成し,定量分析を行う方法である。
内部標準法は,①溶媒の蒸発による濃度変化を補正できる,②前処理などの過程における回収率の補正がある程度可能である,③分析条件の日間変動などによる誤差を抑制できる,などの利点があり,GC,HPLCなどのクロマトグラフ分析に限らず多くの機器分析による定量の際に広く利用されている。(K生)7b7301002
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